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2011/03/01

レトロに彩りあり・宇和島②しろうお、四つ手網

二週間振りの松山から戻った2月17日の夜、チャイムが鳴った。
出ると、お隣の散髪屋のご主人が、「食べなはるか。」と差し出したビニール袋に、

(しろ・うお)・・いや、(しら・うお)だったかな?
ボールに移し入れると、
元気に跳ねながら泳ぎ回る。

まずは記念にと携帯カメラをむけたが・・

ま、透明なんだから(笑)






先ずは、早春の味覚~躍り食い~と、モズクの三杯酢にグイ呑み一杯分ほどを入れてみたが・・
エイッとモズクのヌルヌルに任せて一気飲み~このノド越しぞ粋!?(笑)

しかし、幼い記憶には残っている。
母ちゃんの造ってくれる、澄し汁は美味くて大好物だった。

湯掻くと白くなると思っていたが、翌朝見てみると3割ほどはボールの底に白く沈んでいた。

「川が白くなるんよ」~そんな声が浮かんできた。

神田川(じんでんがわ)と明倫(めいりん)橋

神田川は宇和島の南部(旧市の)を東から西へ宇和島港へ流れ込む。

R56号線が南北に走り、明倫橋をまたぐ。

写真右手の白色の壁は明倫小学校。
山奥の小さい小学校から3年生になる春転校してきた。

写真奥手が河口で、明倫橋の辺りから川幅が広くなる。






















水量は少なく、普段はクルブシまでくらいであった。
山奥育ちには、その 緩く浅い流れが驚きでもあったが、それ以上に驚異的だったのは
満ち潮である。

流れが逆流遡上するのだから!(笑)
明倫橋から100mほどくらいまで満ちてきたように思う。
この辺りには、「石グロ」と呼ばれる石積みがあったが、ウナギ漁のためのものであった。いまは見ることは出来ない。

もう一つ消えた光景は、明倫小の南壁に沿う道路から、神田川に張り出すような形の木組みである。
早春のころになると、そこから竹で組まれた四つ手の網を川に沈めては跳ね上げる 漁が行われていた。

もう、見ることは出来なくなった景なのかな・・

それよりも、「しろうお」だったのかな? 「しらうお」だったのかな?
記憶は曖昧糢糊だ(笑)

二杯目の汁をいただいて、「そうだ。お隣さんに訊いてみよう!」
店の前に、ちょうど奥さんがいて声をかけると、「シラウオじゃなかったかしら?」

ドアを押すと二人のお客さんとご主人。
ご主人は、「シロウオじゃろ。シラウオとは別物よ。シロウオはハゼじゃけん。」とキッパリ(笑)
お客さんは、お二人とも、「う~ん。どっちじゃろか。」

きわめて曖昧である。
そう云えば、最近は宇和島のシロウオと言えば岩松である。(津島町岩松。現在は宇和島市に合併)~新聞にも「岩松のシロウオ漁」と取り上げられる。しかし地元の方は「シラウオ」と呼ぶのが大方のようである。

シロ・シラ談議は措いて、
ご主人から、ステキな情報をいただいた♪

「今度の日曜日は汐がエエけん(良いから)、漁が出るんじゃないかな」☆☆ジャ~ン♪

20日の朝。
寒い。汐も期待したほど大きくない・・が、チャリンコで出発。

妄想した明倫小学校沿いに漁の姿はない・・
隣接した南高(なんこう)沿いにも・・・ 2階の窓から小船からの四つ手網漁に眺め入ったものだが・・

南高の西端辺りで神田川と保手川が合流し川幅は一挙に100mを超す。板島橋も見えてくる。


『板島橋』~宇和島の予科練と平和への軌跡~
木下博民著 

父の書棚に。著者は父の友人。

読んでみよう。

板島橋から神田川上流方。
右手から保手川が合流。

(地図を見ると来村(くのむら)川と記されているが、記憶に残っている保手川と書いてます。)



























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 あっ!
板島橋を南に渡って保手川上流方に200mほどのところ。
(地図の表記は宇和島市保手1)














 四つ手!!

一寸も動かず流れに見入っておられて、声を掛けるのは憚れた。

離れたところからレンズで追っていると、何かが漲った。漲った。

四つ手網の跳ね上げだ~!

細かい網だから、かなりの荷重があると思うが左肩で持ち上げるようにして網を支えて、長柄の杓で網を叩くようにようにして獲物を掬う。
幼い記憶ににもクッキリと印象されている作業の景である。

網を再び沈めると、再び不動の姿勢にもどった。

「おはようございます。これが、四つ手網漁ですか?」と訊ねたら、視線は流れから離さず

「あ~。」と、首を小さく肯かせて
「もう、獲れんなったな・・ 陽も照っとらんし・・ 」と応えていただいた。

「シロウオはハゼの子どもですよね」と、問うと

「ハゼはハゼじゃが、シロウオはこれで親じゃ。 卵を産んだら死ぬ・・  卵を生みに上ってくる」と。


ちょうど、そのとき同年輩(70前後)の男性が自転車で通りかかって
「どうじゃい」と声をかけると、やはり姿勢は崩さず

「汐はエエんじゃろが、上がってこん。 1合、2合じゃ  汐はエエが、陽がな・・ 佐伯町のらも、やるように言いよったが・・」と独り言のように。
「佐伯町のらも見えんな」
・・・ 

(そうだ。木製の一合枡で量っていたな)小学生時代の光景が重なってきた・・・

「ありがとうございます。」と、声を掛けて自転車のスタンドをあげて2、3歩進んだ背中に
「おう」と云う声が届いた。

振り返ったら、不動の姿勢で流れに見入っておられた。


(ありがとうございます。)目頭が熱くなった。

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 (memo)
 「しろうお」「しらうお」


しろうお(素魚)は、ハゼ類独特の吸盤腹ビレを持っており、しらうお(白魚)は、サケやマス類の遠い親戚にあたります。
「白魚のような指」という形容詞もありますが、地域によって素魚と白魚の名前は、混同されている場合が多いようです。

※memoは、おさかな図鑑 より転載させていただきました。

4 件のコメント:

  1. misasiさーーーーーん!宇和島ライフを楽しんでいますね♪
    船に乗って『四つ手網漁』、見ていてドキドキ、ハラハラ。
    落ちそうだよ!落ちないのね(^^♪
    一度体験してみたいでーす\(^O^)/

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  2. ohagicyan~~~~~♪♪

    楽しむと云うよりは、薄い記憶(レトロ)に彩り求めてのブラリチャリンコですね(笑)
    神田川の「しろうお漁」は一等懐かしい光景の一つです♪ ほんとに、側から見ているとハラハラですよ。素手で立ちあがるのも難儀ですからね。
    嫉妬を覚えるほどの熟練技を見せてもらえました!

    板島橋を渡りながら、モヤモヤ・・橋の面影がまったく無いのもあったけど、「よかれん橋」の通称が浮かんでこなかったのが原因だったのね。
    昔を振り返るばかりじゃダメだろうけど、こんな時間がとれたのは、まぁ最後の親孝行と宇和島に残ったことへ親父がくれた褒美かもしれないなんて・・ね!

    ありがとう♪

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  3. misasiさん、おはようございます。

    ブログ、興味深く読ませていただきました。

    四つ手網漁、と言うのですか。
    その言葉も漁の様子も初めて知りました。
    でも、どこか懐かしいというか、うまく言えないんですけど
    日本という国を感じさせてくれる情景ですね。

    穏やかで情緒があってとても素敵な写真です。

    こういう風景が消えてほしくないですね。 


    ありがとうございました。

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  4. >もなかさん

    ありがとうございます(^O^)/

    「・・どこか懐かしいというか、うまく言えないんですけど・・」
    たしかに、こんな事ってありますね。
    はじめて訪ねたはずなのに・・既視感とか言われますが、「心のフルサト。原風景」と置き換えてイイのかもしれませんね。

    大切にしたい心象光景ですね。

    ほんとうに、ありがとうございます!

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