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2011/10/21

うつせみ

うつせみ

庭に枇杷の木があって、その周囲に穿たれた穴に気付くころに蝉が鳴きはじめる。
今年は、どうした、と云うほど見ることがなかった。
平年より鳴き始めが遅かった感じはあったけど、蝉時雨はその声で朝夕を、そして夏の移ろいを知らせてくれた。

穿たれた穴が少なかったせいで、「抜け殻」も見掛けることがないんだよ
なんか気の抜けた、寂しいような感じがしていたんだけど、今朝
姿を見せてくれた


きょう気が付いた、と云うのが本当なんだろうけど、やっぱり
姿を現した、と書きたい。

これは抜け殻なんかじゃない
「うつせみ」

「うつせみ」は今(現在)を生きている。
その目は輝いている。
空孔のように見えるその中に、朝の陽光を祝福し、夜の静寂を慰めている。


「うつせみ」は、「うつしおみ(現人)」の転で、「空蝉」は当て字だそうだ。
長い土中の生活から天上を目指し穿った穴から飛び立った蝉の殻を見つめて改めて思う。

空(から)っぽの抜け殻なんかじゃない。
これは、今日の「現蝉」


今日
今(現)を

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